以前からお伝えしてきました、昨年、アメリカのAAJNY誌でファーストアルバムがベストリリース賞を受賞した、ポルトガル在住のサックスプレイヤー(ts、flute, b-cl)古谷暢康の最新録音アルバムである「StundeNull」(ドイツ語で「零時」の意)が、5月16日(日)にレコード店発売決定です。
地底レコードの通販では、連休明けには販売開始できると思っています。
またディスクユニオン各店では、Clean Feedからリリースされた前作「Bendowa」を「Stunde Null」と同時に店頭展開してもらえることになりました。
古谷は15年程前、渋さ知らズのメンバーとして、主にバリトンサックス奏者として活躍していたことがあり、その後、渡欧し独自で真摯に即興演奏を探求してきた人物です。
AAJNY誌の記事の訳を掲載しておきます。前作がどれぐらいアメリカやヨーロッパで評価されたか、どれぐらい今後の活動に期待されているかがわかると思います。
AAJNY (Mark Corroto著) Clean Feed 「Bendowa」について
リスボンを拠点とするサックス奏者、古谷暢康のスタイルは様々なフリージャズに於けるサックスの巨匠たち、ペーター・ブロッツマン、フランク・ロウ、ロスコー・ミッチェルの間を遍歴する。
「Bendowa」はともすると初期のアートアンサンブル・オブ・シカゴ、AACMの録音と聞き間違う程である。
日本に生まれたリードマンでありフルート奏者である彼は、ここではポルトガルのトリオ、ガブリエル・フェランディーニ(ドラム)とエルナーニ・ファウシュティーノ(ベース)の両者との演奏を披露している。
その音楽は臨界を超えるかのように膨張し爆発する中、決して「ノイズの饗宴」には陥らない。フェランディーニとファウシュティーノの安定したリズムセクションのグルーヴは、古谷の仕事の遂行に与するものだ。
「Track 1」に於いて、彼のテナーは空間というキャンヴァスに強烈な衝撃を持って筆を叩き付け、その傍ら「Track 2」ではより伝統的な音使いがフルートの演奏に見受けられる。
「Track 5」に於いて聞こえる攻撃的なバスクラリネットの音はベースとドラムのうねりの中、漂いそして果敢にも坩堝へと飛び込んで行く。
これこそが古典的な方法論に則って鍛え上げられたリードマンから生まれたフリージャズというものだ。期を新たにして再び現れたこの「新しき音楽 New Thing 」は、恐らくグローバリゼーションと呼ばれるものから生まれた賜物ではないだろうか。
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